ふらのまちづくり株式会社(フラノマルシェ)

【所在地】北海道富良野市幸町13番1号 【TEL】0167-23-5177 【事業内容】都市開発における企画、設計、コンサルタント業務。店舗、観光施設の企画および管理運営業務等。

最終更新日:2024年3月12日

まちなかに、賑わいを

地元の魅力を再発見。マルシェから始まる素敵なまちづくり

民間主導のまちづくり成功事例として、全国から注目を集める「フラノマルシェ」。毎年右肩上がりに来場者が増えている

民間主導のまちづくり成功事例として、全国から注目を集める「フラノマルシェ」。毎年右肩上がりに来場者が増えている

富良野のまちなかに賑わいを取り戻し、みんなが「ここで暮らしてみたい」「暮らして良かった」と思えるまちに育てたい。

そんな願いを実現する拠点として2010年4月に誕生したのが、地域の食をテーマとした複合商業施設「フラノマルシェ」。2015年6月には隣接地に雑貨ショップやアトリウムなどを備えた「フラノマルシェ2」もオープンし、オープン6年で500万人を集客する勢いだ。

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「フラノマルシェ2」で営業する11店舗のうち、5店舗が新規創業。新たに起業したくなる環境を作るのも、ふらのまちづくり株式会社の役割

ふらのまちづくり株式会社は、この施設を運営している会社。
JR富良野駅から歩いて10分ほどのマルシェを訪ねた。

病院移転で空き地となり、活気を失っていたまちなかの一等地。富良野の農産物や加工品を扱うマルシェの誕生は、地元・観光客問わず多くの人を呼び込む求心力となり、他の自治体からは年間60~70件もの視察団が訪れる。

この施設が誕生する原動力となったのが、まちなかの衰退に危機感を抱いた地元民間企業のリーダーたちの思いだった。

マルシェでまちなかに人の流れを呼び込んだ立役者、西本社長。「富良野はポテンシャルが高いまち。開拓できること、やるべきことはまだたくさんある」

マルシェでまちなかに人の流れを呼び込んだ立役者、西本社長。「富良野はポテンシャルが高いまち。開拓できること、やるべきことはまだたくさんある」

「富良野には年間170万人以上の観光客が来ているというのに、人が集まるのは郊外の観光施設ばかりで、中心部は寂れてる。市が進めた駅前再開発で、商店街の小売店は49軒中26軒も移転や廃業をしてしまって。その矢先に今度は一等地に建つ大型病院の移転。もう行政に頼らず民間で何とかしなくちゃと仲間と本気で腹をくくり、商工会議所や商店街とコンセンサスを取りながら、丸2年かけてマルシェの開業準備を進めていったんです」

そう話すのは、2008年からふらのまちづくり株式会社の社長を務める西本伸顯さん。
東京の大企業を辞め、家業である青果卸の会社、株式会社北印を継ぐために34歳で富良野市にUターンした方だ。
マルシェの構想が持ち上がる前は、まちの活性化を議論する協議会メンバーのひとりでもあった。

「若いころは富良野なんてただの田舎だと思っていて、出身地を言うのも恥ずかしかったんだよね」

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肝心なのは、地元に愛される場所であること。フラノマルシェ内の「フラノカフェ」は、「女性たちの井戸端会議の場所。嬉しいよね」と西本社長

脚本家・倉本聰氏のドラマ「北の国から」で富良野が全国的に有名になり、西本さんは映像を通して、子どもの頃は見る機会もなかった郊外の美しい景色を知った。
「富良野って、結構素敵な田舎だったんだ」
ドラマに背中を押されるように帰郷した後は、本業のかたわら仲間とプロバイダを立ち上げてホームページでまちの情報を発信したり、本を出版したり。多くの人とのつながりと思いが、のちのフラノマルシェに続いているように思える。

それぞれ持ち場は違えど、「まちの活性化」という目標でつながっている仕事。スタッフも会社も、共に成長できるよう目指している

それぞれ持ち場は違えど、「まちの活性化」という目標でつながっている仕事。スタッフも会社も、共に成長できるよう目指している

ふらのまちづくり会社には、土産品を販売する富良野物産公社、テナントの整備や管理を行うコミュニティマネジメントという2つのグループ会社があり、これからを担う人材の育成にも力を注いでいる。求めているのは、ポジティブシンキングな人。

「まちを元気にするのは、結局みんなの笑顔なんだよね。だから社員たちには、自分たちのファンを作りなさい、そのために人間性を磨きなさいと常々言っています」

物産店「アルジャン」で販売を担当する林さん。「いろんなお客さんがいらっしゃって接客がすごく面白いし、職場も楽しい」

物産店「アルジャン」で販売を担当する林さん。「いろんなお客さんがいらっしゃって接客がすごく面白いし、職場も楽しい」

次にお会いしたのは、富良野物産公社に入社して3年の林未久さん。フラノマルシェ内の物産センター「アルジャン」でテキパキと接客する姿が印象的です。
ここがオープンした時、林さんは高校1年生。

「地元におしゃれな場所ができた!って、友達と何度かカフェを利用しました。でもアルジャンは、“お土産屋さん”だと思っていて、入ったことはなかったんです」

ところが、夏休みに短期アルバイトで来て、ここで働きたい!と思ったそう。
「お客さんがみんな笑顔で帰っていくんですよ。その様子が、すごくいいなぁと思って」

「アルジャン」で扱う商品は、約8割が富良野でしか買えないもの。新商品も随時登場するため、商品選びはまるで宝探しのよう

「アルジャン」で扱う商品は、約8割が富良野でしか買えないもの。新商品も随時登場するため、商品選びはまるで宝探しのよう

アルジャンの品揃えは約2000アイテム。そのうち8割が地元でしか買えない商品だ。
「地元にいても知らない商品がたくさんありました。実際に商品を試食して知識を身につけたり、品揃えを見直したり。新商品も出てくるので、覚えることは常にあります」

単純に売れさえすればいいと思えば、メジャーな北海道土産を置けばいい。
でも、例えばワインやブドウ果汁のように、ここでしか買えないものを用意するのが、フラノマルシェが考える本当のおもてなし。

今や年間120万人近くを集客するこの場所も、オフシーズンは落ち着いた雰囲気。地元客は、この時期を支えてくれている大切なお客様だ

今や年間120万人近くを集客するこの場所も、オフシーズンは落ち着いた雰囲気。地元客は、この時期を支えてくれている大切なお客様だ

「地元では日配品を買う人が多いですね。みなさんそれぞれお気に入りの商品があって」

愛されているのは商品だけではない。
顔なじみのお客さんが増え、売場で声をかけたり、かけられたり。
「今日はあなたがいるから発送をお願いするわ、とか言われると、うれしいですね」
林さんにも、しっかりファンはついているようだ。
「去年からはオンラインショップも担当することになって。メールでお客様の心をとらえられるように、勉強している最中です」
ここで働けて本当にうれしいと、キラキラした笑顔で話してくれた。

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経理担当の宮下さんは、大阪からの移住者。「子育てしやすい職場に感謝しています。フラノマルシェはとても素敵な場所で、子どもたちも大好きです」

コミュニティマネジメントで経理を担当する宮下牧弓さんは、夏の富良野が好きで毎年訪れ、あこがれの北海道に住むなら子どもが小さいうちにと、2013年に大阪から移住した。
冬を目前に引っ越しし、商工会議所に仕事を得た後、今の会社に声をかけられたそう。

事務所仕事も夏はとても忙しい。経理のほか、語学力を生かして英語での問い合わせやちょっとした翻訳もこなす

事務所仕事も夏はとても忙しい。経理のほか、語学力を生かして英語での問い合わせやちょっとした翻訳もこなす

「冬はかなり過酷かと思っていたのに、住んでみたら意外と平気でした」
大阪では保育所に子供を預けてから1時間かけて通勤していましたが、今の保育所は職場の隣。
「職場も保育所も学校も、全部近くにあって暮らしやすい。子どもたちにとっても良かったと思っています」

得意な英語で外国人のお客様対応をしたり、司法書士の資格を生かして法律関係の契約書を作成したりと、メインの業務ではない部分でも頼りにされるのはうれしい、という。

施設内のテナントショップを回るのも仕事の一部。「素敵なお花屋さんや、かわいい雑貨ショップがあって、立ち寄るのが楽しみです」

施設内のテナントショップを回るのも仕事の一部。「素敵なお花屋さんや、かわいい雑貨ショップがあって、立ち寄るのが楽しみです」

「ここは人が集まる、明るくておしゃれな場所。実は富良野に移住すると決めた時、フラノマルシェで働けたらいいなって勝手に思っていたんです」
2人のお子さんも、お母さんが働くフラノマルシェは大好きなんだそう。

「私は事務職ですけど、快適にお買い物していただけるよう、掃除や雪かきなど、お客様のための仕事は自分の仕事より優先させます。社員はみなそう考えています」

スタッフが働く様子に目配りし、時にギャグを織り交ぜつつ大切な想いを伝える西本社長。まちを元気にする笑顔は、この場所にたくさんあふれている

スタッフが働く様子に目配りし、時にギャグを織り交ぜつつ大切な想いを伝える西本社長。まちを元気にする笑顔は、この場所にたくさんあふれている

人口は約2万3000人と規模は小さいけれど、頑張って素敵な田舎町を目指していきたい、とは西本さんの言葉。
まちを元気にする場所は、こんな風に一人ひとりの思いやりと笑顔で作られていくのかもしれない。

企業概要

企業名 フラノマルシェ(ふらのまちづくり株式会社)
設立年月日 2003年10月28日
業種・職種
業務内容 都市開発における企画、設計、コンサルタント業務。店舗、観光施設の企画および管理運営業務等
勤務時間(一例)
給与(一例)
諸手当
企業PR

平成22年4月にオープンした「フラノマルシェ」内で、市民・観光客に富良野地域の特産品を中心に販売している。

電話番号 0167-23-5177
FAX 0167-22-0511
ホームページ http://www.furano.ne.jp/marche/
所在地 〒076-0024 北海道富良野市幸町13番1号