株式会社一戸電建

【所在地】北海道富良野市花園町1番20号 【TEL】0167-23-4467 【事業内容】電気設備工事

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この街とこの街の人が好きだから快適な暮らしを届けたい

電気工事を通して富良野に恩返し

「電気工事なんて大変なだけの仕事さ」という一戸さん。でも仕事の魅力や社員たちへの思いを語り出すと自然と笑みがこぼれる

「電気工事なんて大変なだけの仕事さ」という一戸さん。でも仕事の魅力や社員たちへの思いを語り出すと自然と笑みがこぼれる

「電気工事の仕事はきついですよ。冬は寒いし、夏は暑い。暖房も冷房もない。でも、そういうなんにもない建物を、誰もが快適に過ごせる場所に変えていくのが僕らの仕事。それはもう、すごくやりがいがあるさ」。

一戸電建は、代表取締役の一戸雄司さん(65)が一代で築いた電気工事会社。冬はかじかむ手をこすり合わせながら、夏はぬぐってもぬぐっても滴る汗に耐えながら、現場に出ていた毎日を振り返る。

富良野高校の校舎改築工事の際に送られた感謝状。事務所内には地域からの感謝状がずらり。地域貢献は同社の経営理念でもある

富良野高校の校舎改築工事の際に送られた感謝状。事務所内には地域からの感謝状がずらり。地域貢献は同社の経営理念でもある

「電気工事を通して地域に貢献する」を経営理念に、市民の暮らしを支えてきた縁の下の力持ち。昭和53年に創業し、現在は16人の社員が勤務する。市内の公共施設をはじめ、大手が運営する道北全域の斎場など、大型施設の電気設備、メンテナンスも手掛ける。

現場での工事作業だけでなく、事務所で図面を引いたり、書類作成などの事務処理をすることも。モニターを見つめる目は真剣

現場での工事作業だけでなく、事務所で図面を引いたり、書類作成などの事務処理をすることも。モニターを見つめる目は真剣

一戸さんは富良野で農業を営む両親の元に生まれ、8人兄弟の次男として育った。跡継ぎではなかったが、働き詰めだった両親、特に母を案じて富良野に残って仕事がしたいと考えていた。体を動かすことや機械いじりが好きだった一戸少年が選んだのは、電気技師の道。

「あの時代(昭和40年代前半)は、なんでもいいから働かなきゃ、食べていけなかったっていうだけ」と笑いながら、少し照れくさそうに続けた。
「僕が子供だった頃はそう配電の環境が不安定で、電気はスイッチを押せばあたりまえに付くっていうものじゃなかったんだよね。停電が起きれば『またか』という感じだし、『困ったなぁ。でもそのうち直しに来てくれるだろう』というような具合で、電気が止まったまましばらく生活したり。そういう不便さを自分がなんとかしたいって気持ちも、あったかな」。

子供時代に抱いた思いは今の経営理念に通じるものがある。

職業訓練校を卒業してから、市内の電気工事店に就職。「常に緊張感を持つ」「自分の作業している周辺だけではなく全体を見通す」など、この頃に先輩たちから教わった心得は今でも大切にし、社員たちにも伝えている。どれだけ技術が発展しても、少しの不注意が大事故につながることもある。この仕事に従事する者が心がけるべき姿勢は変わらない。

札幌に本社のある大手から引き抜きの声がかかったこともあるが、「その頃には父も亡くなっていて年老いた母がいっそう心配だったし、それに富良野が好きなのさ、やっぱり」と28歳の時、この地で独立することを決意した。

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事務所2Fに飾ってある書を前に、作者である事務スタッフの年代まゆみさんと。大きなコンクールで入賞したことを自分のことのようにうれしそうに語る

「ここの電球取り替えてくれる?」。
はじめは、そんな小さな仕事からスタートした。がむしゃらに働く中である時、旧富良野農協が新設する工場の仕事が舞い込んだ。

「もともと頼まれていたのはいつものような小さい仕事だったんだけど、たまたま野菜を選別する機械の前を通りかかったら、故障していた。回路だとかシーケンス制御だとか、機械が好きで知識もあったから、直したのさ。そしたら『そういう仕事もできる電気屋さん』っていうことで、それをきっかけに、大きい施設の仕事が少しずつ増えていった。当時は好景気っていう追い風もあったしね。ああいうのをターニングポイントっていうんだろうね」。

入口に飾る100号の油彩は友人で「貧乏画家(社長談)」の水島海衆氏の筆による。実は、パリで美術館巡りをするほど芸術好きな一戸さん

入口に飾る100号の油彩は友人である画家の水島海衆氏の筆による。実は、パリで美術館巡りをするほど芸術好きな一戸さん

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一戸社長の愛犬・クロム君。中学校の教員をされていた奥様に連れられて毎日のように会社に立ち寄るクロム君は女子社員のアイドル

会社が大きくなると、一人の技術者としてだけではなく、経営者としての役割も重要になってくる。今、一番大切にしていることは、社員たちへの「資源の提供」だという。

「道具や機械の一つ一つ、それから資格取得のための勉強、教育の機会だとかを含めての資源。仕事そのものもそうだね。全員に給料を払えるだけの仕事が入ってこなきゃ元も子もない。そういう使命感で、今日までやって来られた。若いのがどんどん育ってくれているのがうれしいし、ゆくゆくはこの会社を任せたいと思えるような信頼できる部下もいる」そう語る一戸さんの視線の先には、かつての自分と重なるような、生き生きと現場へ飛び出していく社員たちの姿があった。

休日は実家の稼業である農業の手伝いをすることが多いという福田さん。31歳にして現場監督を担うベテラン

休日は実家の稼業である農業の手伝いをすることが多いという福田さん。31歳にして現場監督を担うベテラン

一戸さんが愛情を込めてそう呼ぶ「若いの」の一人、福田良樹さんも富良野生まれの富良野育ち。高校卒業と同時に入社した勤続13年の31歳。現場の代理人として活躍するベテランだ。
「自分で一から工程を考えて配線をして、最後に建物にパァッと明かりが灯る瞬間。あれは、何度でも、どんな小さい現場でも、毎回感動します」。
「やりがいを感じる時は?」の質問に目を輝かせてこう答えてくれた。今は後輩の指導にあたる立場でもある。

市内山部にある養護老人ホーム「寿光園」の非常用発電機の点検とバッテリーを交換する福田さん、香川さん。年は10歳ほど離れていても同じ高校の先輩・後輩だけあって息はぴったり

市内山部にある養護老人ホーム「寿光園」の非常用発電機の点検とバッテリーを交換する福田さん、香川さん。年は10歳ほど離れていても同じ高校の先輩・後輩だけあって息はぴったり

「自分もそうだったんですけど、工業系の高校を卒業していても、いざ現場に出てみると、分からないこと、戸惑うことはたくさんある。だからこちらも当時の感覚に戻り、学び直すような気持ちを持って、分かりやすい言葉で伝えるようにしています。自分は、できることが一つ一つ増えていくのがすごくうれしかったから、そういう感覚を持ってもらえるような指導を心掛けていますね」。

「この街に戻ってきて良かった。たぶんもう離れることはないですね」と富良野への思いを語ってくれた香川さん

「この街に戻ってきて良かった。たぶんもう離れることはないですね」と富良野への思いを語ってくれた香川さん

そんな福田さんの高校の後輩、香川和也さんは入社2年目の20歳。
一戸さんいわく、「入社当時は無口な印象。でも仕事ぶりに創意工夫があって、生き生きと働いてくれている」というところも福田さんと共通している。

「はじめは、こんなにいろんな仕事があるのか!って驚きました。電柱に登って働くイメージしかなかったっていうのもあるんですけど」と香川さんは笑う。配電線、配電盤、電灯、電力機器の設置にメンテナンス。電気工事の仕事は多岐に渡る。現場の環境を整えることも、新人にとっては大事な仕事のひとつだ。

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上司の澤さん(中央)からアドバイスを受ける二人。現場ではどんな時も、声を掛け合いお互いの作業を確認し合う

「たとえば現場の周辺が雑草だらけだったら、草を刈ることから僕たちの仕事は始まる。万全の環境で仕事にあたれるようにするんです。電気は扱い方を間違えれば危険なものでもある。電気が生きている(電源が入っている)ときは、慎重にならないと。電気が生きたままの状態で作業を続けてしまって…バチッ!危ないっ!という状態になったことも…」と入社当時の失敗をちょっぴり懐かしいことのように振り返る。

香川さんは高校卒業後、一度は旭川に本社がある警備保障会社に技術者として入社。振り出しの配属先は大阪の営業所だった。
「離れてみたら、富良野の良さがよく分かりました。空気が澄んでいて静かで。家族がそばにいて、隣近所がみんな知り合い。それは、すごく有り難いことだったんだなって」

香川さんと叔父の高瀬さん。「叔父さんの背中を見て育った」という香川さんは、10代前半には電気技師を志すように

香川さんと叔父の高瀬さん。「叔父さんの背中を見て育った」という香川さんは、10代前半には電気技師を志すように

事務所内にある畳敷きの休憩室。思い思いに体を休めたり、幅広い年代の社員がわきあいあいと過ごす憩いの場

事務所内にある畳敷きの休憩室。思い思いに体を休めたり、幅広い年代の社員がわきあいあいと過ごす憩いの場

Uターンを決めたのは、大好きな叔父が一戸電建に勤務している縁から。
「10年後には自分で現場を持って、図面も引いて、一通りのことができるようになっていたい」と、仕事に慣れてきた今では、叔父の働く姿が憧れから具体的な目標に変わった。

現場へと出発する直前の社員たちに、社屋前で声をかける一戸社長。若手たちは背筋を伸ばしつつもみんな笑顔だ

現場へと出発する直前の社員たちに、社屋前で声をかける一戸社長。若手たちは背筋を伸ばしつつもみんな笑顔だ

生まれた時代が全く違っても、この街に育てられた3人は、どこか似ている。それは同じ道を志した技術者だということもあるけれど、この街が心から好きで、どんな小さな仕事も「恩返し」の気持ちで取り組む人たちだからなのだな、と思う。

企業概要

企業名 株式会社一戸電建
所在地 〒076-0027 北海道富良野市花園町1-20
電話番号 0167-23-4467
FAX 0167-23-4753
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設立 1978年5月1日
事業内容 電気設備工事